【OC号2021】各学部1年生に聞く!理系学部比較 ~目的、進路に差異、資格取得も~
進路を考えるときに、学部選択は大きな意味を持つ。入試に必要な科目が同じであったとしても、学部によって研究内容はさまざまであり、またそれらは学部の名前から想像する印象とは大きく離れていることもある。では、実際のところ、各学部にはどのような違いがあるのだろうか。本記事では、本学の主に理科に関わる学部を対象に、それぞれの学部に所属する1年生の声を交えながら、どのような観点から進路を決定すればよいかまとめる。
理学部の目的は真理の探究
理科が好きでそれを大学で学ぼうと思ったとき、理学部を視野に入れる学生は多いだろう。ただし、生物が好きだから理学部生物学科、物理をやりたいから物理学科、といった選び方は安直かもしれない。実際、高校で学ぶ理科に関する研究は医学部、薬学部、工学部、農学部などでも行われているので、これらの学部と比較して選ぶ必要がある。
これらの学部と理学部との大きな違いは、研究の最終的な目的にある。理学部は好奇心を追い求め、自然界の真理や原則を解明しようとする学部だ。生物学科の千葉神楽(かぐら)さん(理・1)は「ただ自分の興味を追求できるのが魅力だったので選んだ」と語る。地球とは何か、自然とは何か、ひたすら探究するのが、理学である。
生活への応用を目的とする学問
理学部に対して、医学部や薬学部、工学部、農学部などで行われているのは、そのように発見された真理を私たちの生活に役立てる研究だ。したがって、進路を選択するときには、自分の興味がある分野が「身の回りの現象そのもの」なのか「その現象の人間生活への応用」なのかを考えてみるとよい。医学部保健学科検査技術科学専攻の野村明日香さん(医・1)が学部選択の際に大切にしたのは、法医学に関わりたいという希望だ。「ある人が亡くなったとき、その死は変えられないとしても、無駄にはしたくないと思っています。それで法医学に興味を持ちました」。検査の面から関わろうと思い、今の学部を選択した。
また、松井和奏(わかな)さん(農・1)は、食に関わりたいと思い、農学部へ進むことを決めた。「自分のした研究が食に関する場面で実際に役に立つのが魅力的だと感じて農学部を選びました」
幅広い選択肢が魅力の農学部
化学が好きで研究にも興味があるが、どうもしっくりくる選択肢が見つからないという人は、農学部を一度調べてみてほしい。野菜や家畜などはもちろんだが、海洋環境、植物細胞の生理(働きや仕組みの分析)、食品の分子や微生物に至るまで、二つの学科・六つのコースに渡り広い領域の研究が行われている。農学と聞くと、植物や動物を育てたりする生物系の学問というイメージを持つ人も多いだろうが、誰もが入学当初から生物学に明るいわけではない。現に今年入学した学生のうち半分近くが高校生物の未履修者である。学科・コースへの配属は2年次からのため、入学してから自らの研究分野についてじっくり考えられるのも魅力的だ。松田夏奈(かな)さん(農・1)も、農学部での化学系の研究に興味をもって進学してきた。もともとは薬学部に興味があったが、高校化学で生化学分野を学習した時に生物系の学問にも興味を持った。「農学部は生物・化学系で進路とできる範囲が広いのが良い所。具体的にやりたいことが決まっていない人は、進路としてこの学部を考えてみてもいいかもしれません」
工学部にも化学の道
逆に、物理のイメージが強い工学部にも、化学・バイオ工学科のように生物や化学の色が強い学部もある。花澤剛(ごう)さん(工・1)は、理学部に進むことも迷いつつ、この学科を選んだという。「生物も数学も好きで、でも工学部も面白そうで。興味のあるものを全部取ろうとした結果、この学科になりました」。花澤さんは、母校に講演に来た本学教授の話を聞いて工学部に興味を持った。自らの興味と経験を合わせるのも、進路を決める一つの手がかりとなる。
取得する資格も検討材料に
カリキュラムの中で取得できる資格も、学部選択の重要な要素の一つだ。大山采佳(あやか)さん(医・1)は、臨床検査技師の国家資格を得るために医学部保健学科検査技術科学専攻を選択した。将来やりたい仕事が決まっている場合、資格が必要かどうか、またその取得に必要な勉強が自分の進んだコースでできるのかどうか、調べておくことは必須だ。
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ここまで、本学の理系学部について紹介してきたが、この記事で得られた情報がすべてというわけではないことは心にとどめておきたい。オープンキャンパスなどのイベントやホームページを通していろいろな学部について調べたり、本学に在籍する先輩や先生に話を聞いたりするなど、視野を広く持って情報収集することは非常に大切だ。はじめ興味のなかった学部も、実際に見てみて面白いと感じることがある。それぞれの学部に対する勝手なイメージや先入観で学部選択をして、入学後に後悔することがないようにしたい。
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