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【OC号2021】【インタビュー】考えることを楽しんで 東北大学 大野英男総長

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  東北大学トップの役職である、総長。第22代総長を務めるのは、大野英男氏だ。本学の「顔」とも呼べる大野総長に、話を聞いた。世界がコロナ禍にある今、全国の高校生へ、本学総長のメッセージをお届けする。 (聞き手は鈴木優梨子) 「大学は自分のやりたいことを発見する場所」と語る ―多くの高校生が大学進学を目指して勉強に励んでいる。大学とはどういう場所か  高校までは、例えば運動でいえば、基礎動作を練習することが多いですね。道具をどう使うのか、ということは高校でずいぶん教えてもらったと思います。それに対して、道具を使って何をするのかを考えるのが大学。今まで学んできたことがどのように組み合わされて、新しいことや自分のやりたいことが生まれるのか。それを発見したり、考えたり、深めたりする。そういう場所が大学です。  もう一つは、国立の研究大学としての特徴です。教育・研究の環境や体制が国の支援により充実しています。これは、東北大学で学ぶ皆さんに社会が特に期待しているからです。期待されているんだ、といつも考える必要はありませんが、恵まれた環境で学ぶ意味に思いをはせることもあってほしいと思います。自分が何をしたいかが分かってくる場所であり、そしてそれを社会が期待している。東北大学はそういう場所だと思っています。 ―高校時代に身につけてほしい能力は  一つは積極性。何かをやってみたい、私はこれをやってみたい、ということを高校では追求してほしいです。受験を意識すると勉強だけに気持ちがいきがちですが、それぞれが興味のあることを追求して、ぜひ高校時代を充実したものとしてほしいと思います。  もう一つは、考えることを楽しむこと。大学に入ってからも、身に付くことが多く、また視野も広がります。日常がこのまま続くと考えていたのが、コロナ禍になって、全く違う様相になりました。社会が大変なことになりましたが、一方で、自分は何をしたいか、何をするべきか、社会がどのように動いているのかなどを深く考えるきっかけになったと思います。この機会を利用して、「考える」ということを習慣とし、楽しんでほしいと思います。皆さんはこれから大学で専門性を深めていきますが、楽しく考えることで今後の人生がさらに豊かになります。 ―コロナ禍の世界をどう見るか  パンデミックが起こることを警告していた人はいましたが、社会として、それを真

【OC号2021】【インタビュー】大学は「殻が破れる」場所 東北大学加齢研 所長 川島隆太教授

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 「脳トレ」の愛称で有名なゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、2005年に任天堂から発売されて以来、「脳トレブーム」を引き起こすほどの社会現象を巻き起こした。監修者の川島隆太教授は現在、本学加齢医学研究所の所長を務める。川島教授の人生や大学での学びの意味についてなど、幅広く話を聞いた。 (聞き手は松本琉太) 川島教授は「大学の魅力や怖さを楽しんでほしい」と話す ―川島教授の高校時代はどのようなものだったか  高校時代はあまり勉強をせず、友達と遊んでばかりいた気がしますね。3年間をダラダラ過ごした結果浪人することになったのですが、中学の頃から脳と心に興味があり、医学部に進みたいという思いは強かったので、予備校で必死に勉強して翌年、東北大学医学部に入学しました。そういう意味で、非常に「メリハリ」がある学生時代でした。 ―川島教授の研究生活は  僕の目標として「健康な人の脳の働きを知りたい」というものがありました。大学在学中、ポジトロンCTという技術で脳の働きを画像化できると知り、卒業後はマッピング(脳のどの部位にどういう働きがあるかを調べること)の研究を行ってきました。当時最先端の技術であったため日本に教えてくれる先生がおらず、スウェーデンの先生のもとに留学して学ばせてもらいました。 ―「脳トレ」はどのようにして誕生したのか  研究を重ねていくうち、「成果を社会の役に立てたい」と思うようになりました。データを調べていくと、単純な行動ではあるものの、読み書きや計算をすることで大脳が働くということが分かってきました。精神的負荷はかかっていないのに、脳だけが働くという不思議な発見でした。  まずは認知症の高齢者を対象とした実験から始めました。「学習療法」と名付けたこの方法では、薬でも治せなかったアルツハイマーの患者も健康に戻るといった劇的な効果がみられました。これを踏まえて健康な大人を対象とした効果検証も行い、効果も認められるようになってきました。  そんな中、2004年のニンテンドーDSの発売日に、任天堂の岩田社長(当時)がわざわざ東北大学にいらして、このドリルの中身をDSのソフトにしないかという提案を持ちかけられたんです。岩田社長は東京工業大学の出身で理系ということもあり、話の波長が合い、「やりましょうやりましょう」という形で話が進みました。そこで作り上げ

【OC号2021】各学部1年生に聞く!理系学部比較 ~目的、進路に差異、資格取得も~

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 進路を考えるときに、学部選択は大きな意味を持つ。入試に必要な科目が同じであったとしても、学部によって研究内容はさまざまであり、またそれらは学部の名前から想像する印象とは大きく離れていることもある。では、実際のところ、各学部にはどのような違いがあるのだろうか。本記事では、本学の主に理科に関わる学部を対象に、それぞれの学部に所属する1年生の声を交えながら、どのような観点から進路を決定すればよいかまとめる。 理学部の目的は真理の探究    理科が好きでそれを大学で学ぼうと思ったとき、理学部を視野に入れる学生は多いだろう。ただし、生物が好きだから理学部生物学科、物理をやりたいから物理学科、といった選び方は安直かもしれない。実際、高校で学ぶ理科に関する研究は医学部、薬学部、工学部、農学部などでも行われているので、これらの学部と比較して選ぶ必要がある。    これらの学部と理学部との大きな違いは、研究の最終的な目的にある。理学部は好奇心を追い求め、自然界の真理や原則を解明しようとする学部だ。生物学科の千葉神楽 (かぐら) さん(理・1)は「ただ自分の興味を追求できるのが魅力だったので選んだ」と語る。地球とは何か、自然とは何か、ひたすら探究するのが、理学である。 生活への応用を目的とする学問  理学部に対して、医学部や薬学部、工学部、農学部などで行われているのは、そのように発見された真理を私たちの生活に役立てる研究だ。したがって、進路を選択するときには、自分の興味がある分野が「身の回りの現象そのもの」なのか「その現象の人間生活への応用」なのかを考えてみるとよい。医学部保健学科検査技術科学専攻の野村明日香さん(医・1)が学部選択の際に大切にしたのは、法医学に関わりたいという希望だ。「ある人が亡くなったとき、その死は変えられないとしても、無駄にはしたくないと思っています。それで法医学に興味を持ちました」。検査の面から関わろうと思い、今の学部を選択した。  また、松井和奏 (わかな) さん(農・1)は、食に関わりたいと思い、農学部へ進むことを決めた。「自分のした研究が食に関する場面で実際に役に立つのが魅力的だと感じて農学部を選びました」 幅広い選択肢が魅力の農学部  化学が好きで研究にも興味があるが、どうもしっくりくる選択肢が見つからないという人は、農学部を一度調べてみてほしい。野菜

【OC号2021】【秒撮】水面に映る新緑 三重塔高々と 輪王寺

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 ほの暗い参道を抜けると、静寂間雅 (せいじゃくかんが) な境内に着く。ここは曹洞宗金剛寶山 (こんごうほうざん) 輪王寺 (りんのうじ) 。伊達家ゆかりの禅寺だ。  輪王寺は東北有数の名園を誇る。ツツジが可憐に咲き、コイが悠然と泳ぎ、チョウがはためく。豊かな自然が、限られた空間で見事に再現されている。  また目線を上げると、三重塔が木から頭をのぞかせる。欄干の朱色が緑豊かな風景のアクセントとなり、互いを引きたてている。  輪王寺は伊達家11代持宗により創建された。その後、伊達家の転封に従って転々とし、17代政宗の時代に現在地へ。伊達家の躍進と重なり、輪王寺は繁栄した。しかし明治維新によって伊達家の庇護 (ひご) を失い、火事で伽藍 (がらん) が焼失。その後百年間、再建されることなかった。1903年、曹洞宗の大本山が再建を指示し、現在に至っている。  伊達家とともに数奇な運命を辿った輪王寺。今はのどかな空間を現代に届けている。 輪王寺 〒981-0931 宮城県仙台市青葉区北山1丁目14-1

【OC号2021】【入試方式比較インタビュー】(1)合格後を有意義に ~AOⅡ期合格 中村奏太さん~

各方式の特性 受験に生かせ ~AOⅡ期、Ⅲ期、一般~   本学の入試方式は一般入試、AO入試Ⅱ期、AO入試Ⅲ期の三つがある。いずれも学力を重視した試験だが、AO入試では志望する学部が扱う専門分野への関心の程度や、受験者の人間性も合否判断に含まれる。一般入試とAOⅡ期とAOⅢ期、それぞれの違いを高校生に知ってもらうため、各入試方式の受験者に体験談を語ってもらった。本学への受験を少しでも検討しているのなら、ぜひこの記事の内容を活用してほしい。 1:合格後を有意義に ~AOⅡ期合格 中村奏太さん~ 2: 面接 想定外の質問多く ~AOⅢ期合格 高村優之進さん~ 3: 諦めず必死に勉強 ~一般前期合格 武田梨瑚さん~  *  *  *  本学にAOⅡ期で合格した新入生の中村奏太さん(法・1)にAOⅡ期試験の形態を中心にお話を伺った。 ―いつから本学を志望していたか  高校3年生の6月くらいです。夏休みを使って、入試に必要な書類を完成させました。 ―AOⅡ期の情報をどこから入手したか  高校の先輩が本学にAOⅡ期で合格していて、その先輩の合格体験記を読み、情報を得ました。AOⅡ期の試験は基礎知識、思考力、コミュニケーション能力を持った人を高く評価する試験だと知りました。 ―活動報告書(これまでに達成した部活動、資格などの活動実績を記載する書類)になにを書いたか  一つ目は、岩手県主催の講義に参加したことを書きました。私の出身である岩手県では成績優秀者は一堂に集められ、予備校の先生方が授業する講義に参加できます。そこに参加したことで、モチベーションが向上したと書きました。  二つ目に、主体的に英語を学んでいることをアピールするために、GTECの点数を書きました。  三つ目は、学校の授業で行った研究について書きました。私は法律について研究し、それをポスターにまとめました。  活動報告書は、高校の先生に添削をしてもらいました。法学部は出願書類の配点が低いので、書類の作成よりも個別試験の対策に力をいれました。 ―個別試験はどのようなものだったか  法学部は英語の試験だけでした。英英辞書を持ち込むことが許されていました。問題の構成はすべて長文問題で、英文の内容は時事、社会学、法律が中心でした。 ―面接の雰囲気は  和やかな雰囲気でした。面接官3人と自分1人の部屋で約20分間、面接が行わ

【OC号2021】【人生の問い 大学教員が答えます】(1) 「生きている」とは価値に動かされること 文学研究科 村山達也 准教授

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  誰しもが一度は考えたことがある、生や幸福についての問い。コロナ禍において大学で学ぶ学問はどう役立つのか。これらの問いに、倫理学・経済学・精神医学、それぞれの専門分野の視点から本学の教員が答えた。(全3回) 1:「生きている」とは価値に動かされること 文学研究科 村山達也 准教授 2: 消費と余暇を最大化するため行動 経済学研究科 若林緑 准教授 3: 人生で大事なこと人それぞれ 医学系研究科 富田博秋 教授  *  *  * ―人間は何のために生きているのか。生きているとはどういうことか  倫理学は、生きることの価値をめぐる問題を考えます。とても抽象的なので、問題設定には慎重です。すぐに話が曖昧になりやすいからです。  さて、まず後半の質問から。この質問には、私だったら「生きているということだ」と答えます。昔オリンピック中継でアナウンサーが「オリンピックって何でしょう」と尋ねたら、解説者は「オリンピックです」と答えました。そういう感じです。  無駄話はさておき、「生きているとはどういうことか」という問いに倫理学の観点から答えるなら答えは「価値に動かされること」です。コロナ関連でも「~すべき」「~したい」などと言われますが、これは「~は善いという価値をもつ」「~は私にとって価値がある」ということです。人間はいつも、価値に動かされて生きています。  前半の「なんのために生きているのか」という問いは、生に目的があると前提しています。しかし人類であれ個人であれ、生に目的がなくても論理的には問題ありません(生きがいがないと、退屈という意味では不便ですが)。目的があると前提してしまうのは、普段から価値・目的に動かされていることの表れかもしれません。 ―幸せを感じるにはどうすればよいか  この問いは、幸せを「感じ」に限定しています。しかし幸せは感じに尽きるでしょうか。「魔法であなたをオリの中の蛇にしますが、常に最高の満足を感じさせます」と言われて「幸せになれる」と思えるでしょうか。――というように、倫理学は幸せになる方法より「幸せとは何か」にこだわります。なお、私はこういう問いを考えていると、たまに幸せを感じます。 ―コロナ禍に倫理学はどう役立つか  倫理学は人間を動かす価値の研究なので、どんな状況下でも、差別や正義、幸福について考え、人間の行為を理解するのに、大いに役立ちま

【OC号2021】オンライン留学 手軽な反面、物足りなさも

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まって1年以上が経過した。授業や課外活動など、大学生活で大きく変化したものは多いが、留学もその中の一つだ。  知らない土地で新しい文化、価値観に触れる。そんな留学が、行きたくても自分の努力では解決できない理由で困難になってしまった。この状況で、最近「オンライン留学」という新しい選択肢が注目度を増している。  本学グローバルラーニングセンターは、協定校が提供するオンライン留学プログラムへの参加者を募集した。各プログラムは、今年8月から9月の間にそれぞれ実施される。プログラムを提供する協定校は、カリフォルニア大学リバーサイド校(米国)、ハワイ大学マノア校(米国)、貿易大学(ベトナム)、ウォータールー大学(カナダ)、マラヤ大学(マレーシア)、モンタナ大学(米国)、ノースカロライナ大学シャーロット校(米国)の7校。各プログラムの内容は実施大学によって異なる。英語でのコミュニケーションに関する内容に加えて、その国の文化や歴史、ビジネスやリーダーシップを学ぶことができ、現地の学生との交流機会を提供するプログラムもある。例えば貿易大学では、コロナ禍のビジネス戦略について、現地の学生とのグループワークを通して学ぶプログラムを提供する。  今春、ヨーク大学(イギリス)が提供するオンライン留学に参加した生方颯真 (うぶかたそうま) さん(理・2)は、オンライン留学を通して「リーダーシップに加えて、フォロワーシップ(能動的にリーダーを補佐する能力)の大切さを痛感した」と語る。オンラインでありながら、現地の学生やホストファミリーと協働する機会が豊富で、最終日にはプレゼン発表を行うなど主体性を求められる内容だったそうだ。また、生方さんは「実際に現地で学ぶ留学と比べて、日本にいながら参加できる点、費用が抑えられる点がオンライン留学の良さ」と語る。本来、留学には渡航費、学費、住居費や生活費など多くの費用が必要だが、今回実施されるオンラインプログラムの参加費用は1万円または2万円となっている。その反面、現地の学生との深い関わりが得られず、物足りなさを感じたそうだ。また、時差の関係でプログラムの実施時間が遅く、日常生活との並行が難しかったそうだ。  従来の留学に比べて手軽に参加できる留学形態だが、オンラインならでは短所もあるようだ。

【OC号2021】オンライン授業 時間管理が鍵 ~今後も対面との併用を希望~

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  現在、東北大学ではオンライン授業と対面授業の併用を行っている。そこで今回は、今年度東北大学に入学し、4月からオンライン授業を受講している、佐々木悠翔 (はると) さん(理・1)と依田一紗 (よだかずさ) さん(文・1)にその実態について伺った。 ―受講してみてのオンライン授業の印象はどうか   佐々木  入学当初は戸惑いも大きかったですが、もうすっかり慣れましたね。自分でスケジュール管理ができる分、時間の使い方を考える自律性の重要さを感じます。 オンライン授業は自己管理が重要と話す佐々木さん   依田  受講してみると、オンラインでも授業自体はしっかりと受けられるので、入学前ほどオンラインに抵抗感は持たなくなりました。大学構内で授業動画を視聴することもありますね。 依田さんはオンラインにも利点があると語る ―オンライ ン授業の利点と欠点は何か   佐々木  オンデマンドの授業を、自分の予定に合わせて受講できるのはいいですね。ただ、オンライン授業の場合、教授への質問が困難になってしまうのは難点です。質問内容をメールで教授に送る、という形式をとっていますが、返信が来るまでのタイムラグも大きいです。   依田  スケジュールを自由に組みやすいのは助かっています。動画なので、わからない箇所があれば巻き戻しができるのもオンラインならではの利点です。でも、一人で授業動画を見続けるのは、一人暮らしの身にはつらいものがありますね。キャンパスに行って友達に会いたいです。最近では対面の授業も増えてきたので、友人と会えるという点はうれしいですね。 ―部活やサークルのオンライン活動はどうか   依田  今、私は女子ラクロス部に、マネージャーとして所属しています。5月ごろまでは、選手の人たちは、オンラインのツールで、画面越しに筋トレなどを行っていました。現在は対面での活動が認められるようになってきたので、大学のグラウンドで活動ができるようになりました。   佐々木  各サークルが、オンライン活動しかできていなかった期間は、特にどこのサークルに入る気もなかったですね。今やっと始まった対面新歓に参加したいと考えています。 オンラインで行う部活動の様子(報道部)   ◇  ◇  ◇  二人に今後の授業形態の希望を尋ねたところ、両者とも対面とオンラインのハイブリッド型を希望した。今や、当たり前に

【OC号2021】自由度の高い大学生活 ~学生が感じる高校との違い~

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 本学のオープンキャンパスに参加する高校生の方々に向けて、本学でのキャンパスライフと高校生活の大きな違いを三つ紹介する。  まず一つ目は、授業の時間割を自ら組むことができるという点だ。高校では、全員があらかじめ決められた時間割にそって授業を受ける。しかし本学では自分が受けたいと思う授業を、卒業要件を満たす範囲で好きなように選ぶことができる。   本学における時間割の一例としては、選択の自由度の高さを活用して図1のように授業が全くない日、通称「全休」を作ることも可能だ。また本学の特徴として、図2の医学部医学科を筆頭として理系学部は、必修科目が文系学部よりも多い傾向にある。加えてほとんどの理系学部では「自然科学総合実験」と呼ばれる実験科目も必修だ。  このように、受ける授業を自分で自由に選ぶことができるといっても、必修科目が全授業科目数に占める割合は学部によって全く異なる。受ける授業を選択する自由度が高くなる分、自らの頭で考えることも増えるのだ。  二つ目は、クラスのつながりが比較的希薄になるという点だ。高校では授業や行事などにおいて、同じクラスの人たちと交流したり協力したりする機会が多々ある。本学でも学部ごとにクラス 分けはある。しかしおのおのが好きな授業を選ぶことができるために、クラスメート全員で同じ授業を受けることはほぼ無い。行事についてもその自由度の高さのために、クラス単位で活動することは少ない。  一方で、現在本学には全体で1万6千人もの学生が在籍している。それだけでなく、この学友会報道部をはじめとして多くの部活やサークルが存在する。ゆえにクラスのつながりが高校と比べて弱いとしても、友達をつくる機会は十分にある。さらに本学には、北海道から沖縄まで全国から学生が集まってくる。そのため高校よりもいろいろな人々に出会うことができる。  三つ目は、通学するキャンパスが一つとは限らないという点だ。高校では、一つの校舎に3年間通い続けるのが一般的である。本学には、四つものキャンパスが存在し文理区分や大学院進学によって、4年間で異なるキャンパスに通う場合が多くある。(各キャンパスの詳細は、 『キャンパス踏破』 に掲載)   ここまでの本学と高校の違いは、あくまでほんの一部である。本学に入学した暁にはここでは紹介しきれなかった、高校とは違うキャンパスライフが体験できるだろう。

【OC号2021】リモート早押し どこからでも TQR(東北大学クイズ研究会)

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  新型コロナウイルスの流行により、サークルは対面活動の自粛を余儀なくされてきた。オンラインでのサークル活動について、TQR(東北大クイズ研究会)の代表である福井優汰さん(理・3)に話を聞いた。  TQRは現在、約60名で活動している。対面活動ができない間は、オンラインで早押しクイズを行う。リモートのクイズでは、音声通話アプリと「長屋クイズアリーナ」(オンラインでの早押しクイズを支援するソフトウェア)を利用している。まず、音声通話アプリを使って問題を読み上げる。回答者は「長屋クイズアリーナ」でボタンを押し、音声通話アプリで回答する。  リモートでの早押しクイズでは、タイムラグが発生するのが難点。ボタンを押してから出題者が問題を読むのを止めるまでに、余計に問題が読まれるからである。新型コロナウイルスが流行する前までは、実際に早押しボタンを使っていた。  オンライン活動には利点もあると福井さんは語る。ツールを使えば、どこからでもクイズに参加できる。参加者の数は増えたと感じるという。 白熱する早押し(TQR提供)  新入生の勧誘もオンラインで行った。Twitterを使ってイベントの情報を発信し、リモートで早押しクイズの体験会を開いた。今年は20名ほどが入部した。  主な活動は週1、2回の例会。部員が問題を作って持ち寄る。不定期で集まってクイズをすることもある。サークルでは会誌の発行も行っている。作成した問題、部内で誰が正解したか、誰が優勝したかがまとめられている。サークルの知名度を上げるためのもので、クイズ大会や、クイズの問題集の通販サイトで販売している。  現在、サークルでは有志の部員が「TQRオープン」を企画中。誰でも参加できるクイズ大会である。新型コロナウイルス流行の影響で延期しているが、今年度中には開催できるよう調整を進めている。現段階では、対面での実施を予定しているという。  宮城県内の感染者が減少したことにより、学内での課外活動の制限が緩和された。学内のサークルは5月下旬から、順次対面活動を再開している(7月9日現在)。  大学には、高校になかったようなサークルが数多くある。本学オンラインオープンキャンパス特設サイトでは、サークル紹介のページが作られている。Twitterの公式アカウントを開設している団体もある。興味のある方は一度調べてみてはいかがだろうか。

【OC号2021】東北大学キャンパス踏破企画 ~伝統と革新 両立の場~

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   今年のオープンキャンパスは、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインと対面のハイブリッドで開催される。取材班は、実際に東北大学のキャンパスを見学できない高校生のために、3日間かけて五つのキャンパスを取材する「キャンパス踏破」を実施した。 川内北: 百周年記念館 川内萩ホール  キャンパス踏破初日。まず訪れたのは、川内キャンパスに位置する「百周年記念会館川内萩ホール」。この施設は2007年に大学創立100周年の記念事業の一環として改修され、当時最先端であった音響学の技術をもとに音響設計が行われた。客席は3階席まであり、豊かな響きとともに楽器の音色を楽しむことができる。現在は感染症拡大防止の観点からホールの貸し出しを停止しているが、コロナ禍以前は音楽団体のコンサートや定期演奏会などの会場として使用され、本学の学生のみならず多くの仙台市民に親しまれている。2016年には市民に開かれた川内萩ホールの取り組みが評価され、第15回公共建築賞(優秀賞相当)を受賞した。 青葉山北: 理学部自然史標本館  次に訪れたのは、青葉山北キャンパスに位置する「総合学術博物館理学部自然史標本館」。この施設は、開学以来、各部局で保管・管理されてきた学術資料標本を総合的に管理することを目的として、1995年に開館した。館内では、大学の研究・教育活動により蓄積されてきた化石・岩石・鉱物など約1200点が常設展示されている。収蔵物は、考古学分野で採集したはにわなどの重要文化財、日本人のルーツをめぐる人類骨格標本、本学で発明・開発されたKS鋼などさまざまである。現在は休館中だが、これまでにオンラインの企画展が開催されるなど、コロナ禍においてもさまざまな工夫を凝らして博物館の魅力を発信している。 青葉山新: ユニバーシティーハウス青葉山  初日の最後に訪れたのは、青葉山新キャンパスに位置する「ユニバーシティハウス青葉山」。この施設は「国際感覚の研鑽 (けんさん) 」「協調性・社交性の涵養 (かんよう) 」などをコンセプトとして、東北大学の日本人学生と留学生が共同生活を送る学生寮である。寮は1号棟から6号棟まであり、入居者8人で一つのユニットが構成されている。原則として学部新入生と留学生が入居でき、日本人学生の入居期間は最大2年間である。例外として、入居者の大学生活を支援したり寮内の交流イベント

【OC号2021】キャンパスマップ

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【OC号2021】【入試方式比較インタビュー】(2)面接 想定外の質問多く ~AOⅢ期合格 高村優之進さん~

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 各方式の特性 受験に生かせ ~AOⅡ期、Ⅲ期、一般~   本学の入試方式は一般入試、AO入試Ⅱ期、AO入試Ⅲ期の三つがある。いずれも学力を重視した試験だが、AO入試では志望する学部が扱う専門分野への関心の程度や、受験者の人間性も合否判断に含まれる。一般入試とAOⅡ期とAOⅢ期、それぞれの違いを高校生に知ってもらうため、各入試方式の受験者に体験談を語ってもらった。本学への受験を少しでも検討しているのなら、ぜひこの記事の内容を活用してほしい。 1: 合格後を有意義に ~AOⅡ期合格 中村奏太さん~ 2:面接 想定外の質問多く ~AOⅢ期合格 高村優之進さん~ 3: 諦めず必死に勉強 ~一般前期合格 武田梨瑚さん~  *  *  *  本学工学部機械知能・航空工学科にAOⅢ期で合格した高村優之進さん(工・1)に、面接の様子を中心に答えていただいた。 AO入試Ⅲ期について語る高村優之進さん ―いつから本学を志望していたか  高校2年生の時に参加したオープンキャンパスがきっかけです。その時以来、この大学で宇宙工学の研究をしたいと思っています。 ― どんな面接だったか  面接官は3人で、軽い雑談に始まり、事前に提出していた志望理由書や活動報告書などに沿って質問されました。事前に面接指導の先生からどう突っ込まれそうかなどを教えてもらい、対策を立てていました。しかし想定外の質問が多く、面接中はとても緊張しました。正直面接直後は落ちたなと思いました。 ―面接ではどのようなことを聞かれたか  自分は航空宇宙コースを志望していたのですが、そのコースについてしっかりと調べてられているかを問う質問をされました。また、宇宙に関して今問題だと思うことは何か、それを解決するにはどうしたらいいと思うかといったことも聞かれました。さらには、志望するコースに配属されなかったことを考えて、航空宇宙コース以外のコースについても調べているかどうかを聞くような質問もありました。 ―志望理由書・活動報告書にはどのようなことを書いたか  志望理由書には、自分が研究したい技術は、東北大学のこの学科でしか研究していないから志望したということを書きました。活動報告書には高校2年生の時にアメリカへ海外研修に行ったことを書きました。海外研修に行ったという実績よりも、海外研修に行くためにどんな努力をしたかということに重点を置

【OC号2021】【入試方式比較インタビュー】(3)諦めず必死に勉強 ~一般前期合格 武田梨瑚さん~

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  各方式の特性 受験に生かせ ~AOⅡ期、Ⅲ期、一般~   本学の入試方式は一般入試、AO入試Ⅱ期、AO入試Ⅲ期の三つがある。いずれも学力を重視した試験だが、AO入試では志望する学部が扱う専門分野への関心の程度や、受験者の人間性も合否判断に含まれる。一般入試とAOⅡ期とAOⅢ期、それぞれの違いを高校生に知ってもらうため、各入試方式の受験者に体験談を語ってもらった。本学への受験を少しでも検討しているのなら、ぜひこの記事の内容を活用してほしい。 1: 合格後を有意義に ~AOⅡ期合格 中村奏太さん~ 2: 面接 想定外の質問多く ~AOⅢ期合格 高村優之進さん ~ 3:諦めず必死に勉強 ~一般前期合格 武田梨瑚さん~  *  *  *  本年度、本学医学部保健学科看護学専攻に一般入試で合格した武田梨瑚さん(医・1)。本学医学部を受験する際には、筆記試験と面接試験が必要となる。武田さんに、一般受験の面接や対策について話を伺った。 合格要因は「諦めないこと」と話す武田梨瑚さん ―一般入試にどんな気持ちで臨んだか  私は、本学のAOⅡ期、AOⅢ期を受験しましたが、結果は両方不合格でした。これだけ受験したので、今回こそは合格するだろうと、開き直って試験に臨みました。合格できてよかったです。 ―一般入試の面接はどのような面接だったか  一つ目は、本学の志望理由を聞かれました。本学には大学病院があり、そこで専門的な知識を学べるからと答えました。  二つ目は、最近関心のあるニュースを30秒間で説明することを求められました。コロナ禍を背景に、鳥インフルエンザの抗体を早期発見重要性について説明しました。  三つ目に、自分が看護師に向いているところはどこかと聞かれました。私は明るい性格で、コミュニケーションをとることが得意だと答えました。 ―面接の対策はなにをしたか  高校の先生と練習をしました。聞かれそうな質問の答えを準備して、先生に添削してもらいました。私はAO試験に向けて面接の練習をしていたので、スムーズに一般入試の面接に挑むことができました。 ―合格した一番の要因はなにか  諦めなかったことです。AOⅢ期に落ちた後の一般入試までの約1週間、不安や焦りがありましたが、必死に勉強しました。そのおかげで合格できたと思います。

【OC号2021】【人生の問い 大学教員が答えます】(3) 人生で大事なこと人それぞれ 医学系研究科 富田博秋 教授

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  誰しもが一度は考えたことがある、生や幸福についての問い。コロナ禍において大学で学ぶ学問はどう役立つのか。これらの問いに、倫理学・経済学・精神医学、それぞれの専門分野の視点から本学の教員が答えた。(全3回) 1: 「生きている」とは価値に動かされること 文学研究科 村山達也 准教授 2: 消費と余暇を最大化するため行動 経済学研究科 若林緑 准教授 3:人生で大事なこと人それぞれ 医学系研究科 富田博秋 教授  *  *  * ―人間は何のために生きているのか、生きているとはどういうことか  患者さんを診察していて感じるのは、何を大事にして生きているかは、人によって違うということです。診察では、患者さんに「何をしている時が楽しいですか」「やりがいを感じるのはいつですか」と聞くことがあります。精神的に楽に生活できる方法を一緒に模索するのです。自分が楽しめることやわくわくすることを改めて認識し、不安なこと、嫌なことから離れてみると症状が改善することがあります。  個人的には、小説家の遠藤周作が言うように、「絶対的な真理はない」と思っていますが、自分と周りを幸せにできることを目標として生きていますね。 ―幸せを感じるにはどうすればよいか  社会全体で幸せを感じる人が増えれば、自殺者は減りますよね。精神医学全体として、自殺者数を減少させるよう取り組んでいます。精神疾患がある人をサポートしたり、ハラスメントや児童虐待を無くす運動をしたりすることが必要です。  個人でできることとして「レジリエンス」という、ストレスに対処する力をつけることが挙げられます。自己肯定的な考え方をしたり、その日あったよかったことを思い返したりしましょう。心の健康を保ち、うつ病の予防につながります。 ―コロナ禍で精神医学はどう役立つか  精神医学では、コロナ禍でメンタルに不安を抱えている人のサポートや治療を行っています。新型コロナはメンタルヘルスに大変悪影響を及ぼしています。感染の恐怖を感じたり、経済的に困窮して不安になったりするからです。世界全体で感染症がまん延しているため、治療に十分な医師や時間が割けないことも問題となっています。  コロナ禍において心の健康を保つためには、生活リズムを整えたり、適度に運動したりすることが大切です。オンラインで会話できるツールで少しでも人と話したり、悩みを相談したり

【OC号2021】【人生の問い 大学教員が答えます】(2) 消費と余暇を最大化するため行動 経済学研究科 若林緑 准教授

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 誰しもが一度は考えたことがある、生や幸福についての問い。コロナ禍において大学で学ぶ学問はどう役立つのか。これらの問いに、倫理学・経済学・精神医学、それぞれの専門分野の視点から本学の教員が答えた。(全3回) 1: 「生きている」とは価値に動かされること 文学研究科 村山達也 准教授 2:消費と余暇を最大化するため行動 経済学研究科 若林緑 准教授 3: 人生で大事なこと人それぞれ 医学系研究科 富田博秋 教授  *  *  * ―人間は何のために生きているのか。生きているとはどういうことか  経済学の前提で言うならば、人々は効用を最大化するために行動します。効用とはその人が生きていく上で一番幸せだと思う事です。つまり、人々は消費と余暇を最大化するように行動するという風に経済学では考えるわけです。でも一日は24時間であり、持っているお金も有限であるので、それらをどのように割り振ると満足度が高まるのかを考えます。  人は効用を最大化する事を前提に生きているし、私自身もそうなんじゃないかなと思います。その人にとって何が効用最大化なのか、幸せと思うのかという事を考えると、おのずと生きる意味は決まってくるんじゃないかなと思います。 ―幸せを感じるにはどうすればよいか  人々は効用を最大化するために行動するので、その時の効用を自分なりに解釈することで幸せを感じる事ができると思います。  その時々に幸せって変わってくると思うんですね。高校生のときは大学に入ることかもしれないし、大学に入ったら就職かもしれない。幸せは一元的なものではないですから。  自分にとっての効用を最大化するために、リスクとリターンを考えて、今の行動を決める。そうすることで、その人の思う幸せを達成できるのではないかと思います。 ―コロナ禍に経済学はどう役立つか  コロナ禍において、やみくもに怖がってしまえば何もできないし、逆に突き進んでしまえば感染してしまうかもしれない。経済学を学ぶと、どういうリスクとリターンがあるかを実際のデータを見ながら自分なりに考える事ができるようになると思います。  経済学を勉強すると社会の仕組みが分かります。その仕組みが分かるとどうするべきかを自分なりに話せるようになります。  経済学という共通言語を用いる事でどんな状況でも根拠をもって自分の考えを話す事ができるようになるという点で役

【OC号2021】【人生の問い 大学教員が答えます】(総括)

 誰しもが一度は考えたことがある、生や幸福についての問い。コロナ禍において大学で学ぶ学問はどう役立つのか。これらの問いに、倫理学・経済学・精神医学、それぞれの専門分野の視点から本学の教員が答えた。(全3回) 1: 「生きている」とは価値に動かされること 文学研究科 村山達也 准教授 2: 消費と余暇を最大化するため行動 経済学研究科 若林緑 准教授 3: 人生で大事なこと人それぞれ 医学系研究科 富田博秋 教授  *  *  *  誰しもが一度はぶつかる生や幸福に関する問いに、各学問の見地から非常に特色ある答えをいただけた。コロナ禍において、文理問わず学問が社会に役立っているという事実は、大学で学ぶ私たちをも勇気づけるものだった。専門分野の知識や考え方は、研究の場面でのみ役立つものではない。時に、答えが定まらない問いと向き合う材料を与えてくれる。一生の財産となりうる大学での学びを有意義なものにしてほしい。 (文責・藤井千尋)