【OC号2021】東北大学キャンパス踏破企画 ~伝統と革新 両立の場~

  今年のオープンキャンパスは、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインと対面のハイブリッドで開催される。取材班は、実際に東北大学のキャンパスを見学できない高校生のために、3日間かけて五つのキャンパスを取材する「キャンパス踏破」を実施した。


川内北:百周年記念館 川内萩ホール


 キャンパス踏破初日。まず訪れたのは、川内キャンパスに位置する「百周年記念会館川内萩ホール」。この施設は2007年に大学創立100周年の記念事業の一環として改修され、当時最先端であった音響学の技術をもとに音響設計が行われた。客席は3階席まであり、豊かな響きとともに楽器の音色を楽しむことができる。現在は感染症拡大防止の観点からホールの貸し出しを停止しているが、コロナ禍以前は音楽団体のコンサートや定期演奏会などの会場として使用され、本学の学生のみならず多くの仙台市民に親しまれている。2016年には市民に開かれた川内萩ホールの取り組みが評価され、第15回公共建築賞(優秀賞相当)を受賞した。







青葉山北:理学部自然史標本館


 次に訪れたのは、青葉山北キャンパスに位置する「総合学術博物館理学部自然史標本館」。この施設は、開学以来、各部局で保管・管理されてきた学術資料標本を総合的に管理することを目的として、1995年に開館した。館内では、大学の研究・教育活動により蓄積されてきた化石・岩石・鉱物など約1200点が常設展示されている。収蔵物は、考古学分野で採集したはにわなどの重要文化財、日本人のルーツをめぐる人類骨格標本、本学で発明・開発されたKS鋼などさまざまである。現在は休館中だが、これまでにオンラインの企画展が開催されるなど、コロナ禍においてもさまざまな工夫を凝らして博物館の魅力を発信している。





青葉山新:ユニバーシティーハウス青葉山


 初日の最後に訪れたのは、青葉山新キャンパスに位置する「ユニバーシティハウス青葉山」。この施設は「国際感覚の研鑽(けんさん)」「協調性・社交性の涵養(かんよう)」などをコンセプトとして、東北大学の日本人学生と留学生が共同生活を送る学生寮である。寮は1号棟から6号棟まであり、入居者8人で一つのユニットが構成されている。原則として学部新入生と留学生が入居でき、日本人学生の入居期間は最大2年間である。例外として、入居者の大学生活を支援したり寮内の交流イベントを企画したりする「アドバイザー」に就くことで、3年目以降も継続して居住できることになっている。現在は、新入居者のためのウェルカムパーティーや、ユニット内の交流会などが自粛されているが、日常的な生活の中で国際感覚を養うことができるグローバルな施設である。






片平:東北大学史料館


 キャンパス踏破2日目。この日訪れたのは、片平キャンパスに位置する「東北大学史料館」。現在の建物は、1924年に「東北帝国大学附属図書館」として建設された。附属図書館は1973年に川内地区へ移転したが、旧図書館は86年に「東北大学記念資料室新館」として改修され、名前を変えて今の姿に至る。2階の展示室では、東北大学の歴史を紹介する「歴史のなかの東北大学」という常設展示が公開されており、東北大学誕生から現在に至るまで時代ごとに資料や写真が展示されていた。中には、アインシュタインが本学を訪問した際のサインの複製や、明治から大正前期にかけて帝国大学を首席・次席で卒業した学生に天皇から授与されていた「恩賜(おんし)の銀時計」などの貴重な保存品も見学できる。また、1904年に東北大学医学部の前身である仙台医学専門学校に留学した魯迅(ろじん)(1881―1936)を紹介する「魯迅企画展示室」も公開されており、学生生活の1年を仙台で過ごした彼の面影をしのぶことができる。









星陵:附属図書館医学分館


 キャンパス踏破最終日。最後に訪れたのは、星陵キャンパスに位置する「東北大学附属図書館医学分館」。この施設では老朽化のため改修工事が行われ、今年の春にリニューアルオープンした。リニューアルにあたっては、グループ学習席・個人学習席など学習スタイルに合わせた多様なタイプの閲覧席を新たに設置した。臨床講義棟との間には連絡通路を設け、病院や臨床講義棟と行き来しやすくした。リニューアル後は、利用者から「きれいになった」「机が広くて使いやすい」といった反響があったそうだ。医学分館は医学部などの学生に加え医療従事者も利用する。そのため、開館時間も7時~24時と長く便利である。医学分館の運用係長である渡邊愛子さんは「今回の改修は、いろいろなタイプの席を作ろうというのがコンセプト。ぜひ好きな席を見つけて積極的に利用してほしい」と話した。








 以上、五つのキャンパスをめぐるキャンパス踏破であった。東北大学に入学した際は、興味を持った施設にぜひ足を運んでみてほしい。



《お詫びと訂正》(2021.7.23)

 紙面版の該当記事中[青葉山北:理学部自然史標本館]において、「収蔵物は、考古学分野で採集したはにわなどの重要文化財…」の「はにわ」が脱落していました。お詫びして訂正いたします。

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